どうでもいいお話

役に立つかわからないような小ネタを紹介します

電話番号

 

 

存命の祖母は母方が1人だけ。

母方の祖父も父方の祖父母も既に鬼籍に入っている。

 

父方の祖父母は敷地内別居で

共働きの両親に代わって

小さい頃とてもよく面倒を見てくれていた。

田舎の本家の長男の長女で

下には8歳違いの妹しかいない。

8歳までは一人っ子で甘やかされて

育ってきた。

当然だが、祖父母が私にとっては

とてもとても大きな存在だった。

 

 

大学時代実家を離れて一人暮らししていた私は

実家の父母にかける電話よりも

祖父母にかける電話のほうが多かった。

 

そんな祖父母が亡くなったのは

社会人になってからすぐだった。

父も妹も母も悲しんでいて

私も悲しかったが代わりに

仕切らねばと葬式の雑務をこなした。

何かしていると忘れられる。

そうしてただただ過ごした。

 

2ヶ月程たった頃

ふと携帯の電話帳をみると

祖父母の家の番号があった。

既に解約していたが

かけてみたくなった。

 

無機質な機械音を聞いて

そこで祖父母の死を実感した。

その瞬間が多分一番悲しかった。

 

携帯を変えてからは登録していない。

また登録しようか迷ったが

脳内に記録することにした。

番号は覚えていても、もうかけない。

 

そんなおセンチな午後のどうでもいい話。